2015 08 10

大河原邦男

上野の森美術館でやっている メカニックデザイナー大河原邦男展 を見てきた。

実は最初は三菱一号美術館に河鍋暁斎を見に行ったのだが、そっちは定休日だった。 で、せっかく来たのに何も無しで帰るのも勿体無いし、上野ならきっと何かやっているだろうと調べて、全くノーマークだったこの大河原邦男展を発見したのだった。

展示は、1972年のガッチャマンから始まり、2014年まで時代に沿って進むのだが、最近のものは正直どうでもいい。 俺の中でのピークは、1980年代のリアル路線の作品群だ。

まず外せないのがガンダム。

中学校の美術の時間は、教科書に載っている名の有る画家の絵を模写することが多かったのだが、1年もやるとネタが尽きるのだろう。 最後の方は好きな絵を描いていいことになった。 で、もうガンダムばかり描いてたんだよな。 そのときに参考にしたポスターが幾つか展示してあって、なんか色々一気に思い出した。

迫力を出すための意図的な歪みを、実際にそうした動きが可能になるように関節などの構造を補完したりして、元絵よりもよりリアルになったことに一人満足してたこと。 線を引くのではなく、細く塗り残すことでエッジの金属感を出すという手法を、敵味方のモビルスーツを描く中で発見したこと。 等々。

そして高校生だった俺の心を鷲掴みにしていたボトムズ。

新番組の予告で最初にアーマードトルーパーを見たときは 「なんだこのタコは」 なんて思ったのだが、3連ターレットレンズ、降着機構、一発ごとに薬莢を排出するアームパンチ、そして火花飛び散るローラーダッシュにやられて、放送開始後のタコ呼ばわりはもう愛情表現。 放送日の毎週木曜は何が何でも4時半までに家に帰る日だった。

当時、授業の半分ぐらいはせっせとノートにタコを描いていたと思う。 特に3連ターレットレンズ。 複数あるレンズのそれぞれでの反射とか、表面への写り込みとか、何とか巧く表現しようと夢中になってた。 なかなか思うようには描けなかったんだけどさ。

ボトムズ関連の展示はガンダムに比べると全然少なかったんだけど、思い入れが強い分だけ思い出すことも多いな。

あと、デザイン画に書かれている発注側のコメントが面白かった。 肩のボリュームをもう少し増やしてとか、アンテナをもっと鋭角的にとか、割と細かい要求が 「大変申し訳ないのですが」 なんて言葉と共に書かれていたり、 「変更が重なるにつれて元の良さが無くなってきていると思います」 なんて辛辣なのもあったり。

俺が仕事で画面の設計をするときも、ユーザーとのやりとりはこんな感じなんだよな。 分野は違うけど 「あー、あるよなぁー」 なんて、しみじみと思ってしまったのだった。