2015 10 14

バトン

何かの番組中で 「あなたには一生の不覚はありますか?」 と訊かれた岡本夏生は、子供を産まなかったことと答えたのだそうだ。 キャリコネニュースから記事抜粋。

若い頃は「結婚なんかいつでもできる」と考え、妊娠・出産のタイミングも真剣に考えていなかったという岡本だが、いざ閉経し、子どもが産めなくなった時に、こんなことを思ったという。

「子どもを産みたくても産めない人がたくさんいるのに、健康な子宮と産道を持ちながら、子どもを産まなかったということにおいては……自分だけの問題じゃなかった」

自分だけの問題ではないとする理由について、岡本はこんな説明をした。

「2億年ぐらい前から自分の先祖が槍を持って戦って戦ってバトンをくれて、『次のバトンよろしくな』って言われたものを自分で閉ざすってのは。20代、30代の時にこの話が分かっていれば、『産まなくていいんだよ』なんて呑気な人生じゃなかったのかなって」

さらに岡本のブログを見る読者から、「岡本さんを見ていたら子どもがいなくても楽しそうだから、私もそう生きます」という声が多数届いていることに対し、「そうじゃなくてね!」と次のように語った。

「やっぱり結婚できる人はぜひ結婚してほしいし、結婚して赤ちゃん授かれるうちは一瞬で短いわけだから、ぜひそうしてもらいたいと強く勧めたい」

ただ繋いできたというだけでも価値があるような論調だが、つなぐ価値のあるバトンがどれだけあるのかね。 まあどんなバトンでも遺伝子の多様性を保つことには役に立つのかもしれないが、それだけなら、ねえ。

あと、アポトーシス要員はバトンを渡さないことこそが成すべきことだからね。 次にバトンを渡せなかったことを、そう悲観しなくてもいいだろう。

と、渡されたバトンを持って一人途方に暮れている俺が言ってみる。

そう言えば、今年のノーベル賞は物理学と医学で日本人が受賞したんだよな。 彼らのプラチナバトンはどうなってるんだろうね。

さて、バトンを渡せなくて後悔している人がいる一方で、渡しちゃダメなバトンを渡している人も。 ねとらぼから。

東京都が先ごろ発表した「東京ブランド推進キャンペーン」のロゴが、ほかのロゴと似ているとの意見がネットで上がっていることについて、舛添要一東京都知事が「問題はない」との見方を示した。

ロゴは「& TOKYO」の文字を使ったもの。 フランスのメガネ店やニュージーランドの法律事務所のロゴに似ているとする声が上がっている。 都知事は10月13日の定例会見で、「記号なので著作権の対象でない」「記号なので(似たものは)ごまんとある。もっと見つかっていい」とコメントした。

都知事によると、ロゴ製作に関連する費用は1億3000万円。 うちロゴ・キャッチコピーの制作自体に500万円、商標の調査に2540万円、各種PRツール(映像など)のデザインに約7000万円かかったという。

東京ブランド推進ロゴマークはこんな感じ。

& TOKYO

そしてニュージーランドの法律事務所のロゴはこんな感じ。

JONES & CO

まあ、似てるよな。

記号そのものには確かに著作権なんて無いだろうけど、記号をどう使いどう見せるかはデザインの領域で、そこにあるアイデアは尊重されるべきものだろう。 という意味での類似の指摘なのだが、舛添君の回答は 記号だから問題ない って、タイポグラフィーから書道まで全否定か。

まあ自分でもズレた答えだと思ってるだろうけど、それ以外は言えない立場なんだろう。

ああ、でも額に

&

みたいなシールを貼って出てきたら、なんだか笑って許せそう。 芸術性やデザイン性を議論するのが一瞬で馬鹿馬鹿しくなるだろうし。 今後、オリンピックの終了まで、公式の場に出るときは額にこのシールを貼ってみてはどうか。 金をかけなくても勝手に報道してくれて、費用対効果も高くていいだろう。

ところで、記事では舛添君しか出てこないけど、これをデザイン(?)した永井一史という人は多摩美術大学の教授で、佐野研二郎とは友達なんだとか。 このプロフィールだけでもうどんな人かを勝手に想像してしまうけど、作品を見ると想像が確信に変わるな。

ヤコブの階段

朝7時の東の空。