2016 03 20

鍋島焼

戸栗美術館に 鍋島焼展 を見に行ってきた。

この戸栗美術館は焼き物専門。 渋谷bunkamuraの近くにあるのだが、周囲はとてもそうとは思えない閑静な住宅街で、それに合わせたのか割と地味な佇まいを見せている。 存在自体が地味というのは言い過ぎか。 俺は、見にいこうと誘われるまでは存在を認識していなかったのだが、それは俺の問題だし。

展示は、二つの展示室でほぼ時代に沿った形で鍋島焼を並べ、3つ目の展示室で伊万里焼をやはり時代の順に並べて、対比させている。

解説によると、鍋島焼は佐賀鍋島藩が将軍家への献上品を作ることを目的に、腕のいい職人を集めて作らせたもの。 その所為か、歴史の最初から完成度が高い。 時代によって絵や模様は変化しているが、それは技術というよりは流行の変化なんだろう。

途中、暴れん坊将軍でお馴染みの吉宗が出した倹約令によって、色が青一色になってしまったのがちょっと残念。 最盛期のカラフルなやつ、淡い青と緑の中に浮き上がるように濃い赤があるのとか良い感じだったのに。

模様は植物をモチーフにしたのが多い。 その半数以上は組紐のような幾何学模様っぽいものだが、いくつか絵画風のものもあって、俺はこちらが好み。 余白を大きくとった日本画っぽいものが良い。

主に値段が理由で、俺がこれらを使って食事をすることはきっとないだろうが、仮に使うとしたら、あれこれ乗せて模様がほとんど隠れていても、皿の向きはちゃんと揃えるんだろう。

揃えると言えば、皿や茶碗は幾つか同じものをセットで作るのが基本だそうだ。 で、セットの各品は同じ模様で揃えられているのだが、これがよく見ると微妙に違う。 手書きでしかも焼き物なので、微妙程度に収まっているだけでも十分に凄いのかもしれないが、そこはきっちり揃えてほしかったな。

あとは青磁の壺(瓶?)が綺麗だった。 淡い青緑の透き通るようなやつ。 断面図代わりに、これと同じタイプの壺の破片も展示してあったのだが、釉薬ってかなり分厚く塗ってあるんだね。 精々3ミリぐらいだろうと思っていたので、実際の厚さにちょっと驚いた。

館内は全然混んでなくて、自分のペースでゆっくり見ることができた。 焼き物ということで客は年寄りばかりだろうと思っていたのだが、そんなことは無かったな。 これが普段通りなのか、実はちょっとしたブームになっているからなのかは知らないが。 そして、誘ってくれた人が都合がつかなくて来れず、誘われるまで知らなかった俺だけが来ているという皮肉。

戸栗美術館の1

美術館の入り口。 看板が地味。

戸栗美術館の2

入り口の横の彫刻も地味。 ちょっとおばさんっぽい。