2016 08 19

水の音色

久しぶりに渋谷駅で京王井の頭線から東急東横線に乗り換えて、渋谷駅の改築がなぜ悪評ばかりなのかを身を以て理解した。 設計したやつ馬鹿だろ。 いや、頭が良くて性格が悪いって可能性もあるのか。 あれがダンジョンならとても親切なのだが、駅だからね。

乗り換えて行く先は中目黒。 郷さくら美術館でやっている 現代日本画「水の音色」展 を見てきた。 同時開催の 桜百景 vol.6 も。

現代日本画というが、日本人が最近描いたというだけのこと。 国内の景色を描いたものがほとんどのようだが、しかし 「現代」 も 「日本」 も、絵から感じることはそう無いだろう。 と、見る前は思っていたのだが、実際に見てみると、意外にもどこか日本の景色って感じだった。 何がどうと上手く言えないのだが。 田舎暮らしだった遠い子供の頃の記憶? 虫の声が聞こえてきそうな感じ?

展示品はどれも結構大きくて、それも絵の世界に入りやすくしているのだと思う。 展覧会に行くたびに思うことだけど、大きさの効果って凄いよな。

まあ、これは脳が余計な世話を焼いているからなのだが。 視角だけなら、大きな絵を離れて見るよりも小さな絵を近くで見る方が大きいのだが、脳がわざわざ 「小さな絵を近くで見ている」 と判断できる情報とセットにするのだ。 これ、生きるためには必須の機能なのだが、常時ONである必要は無いんだよな。

作品が大きいのと引き換えだが、展示品は割と少ない。 水の音色の方が30作品ぐらいで、桜百景の方が10作品ぐらい。 美術館が小さいので、これ以上は物理的に無理っぽい。 しかし特に物足りない感じはしなかったな。 ゆっくり見るには、このぐらいがちょうどいいのかもしれない。

そんな少ない作品の中で印象に残ったもの。

神象 那智 吉田多最

小学生の頃、和歌山県に住んでいたことがある。 せっかく和歌山に引っ越してきたのだからと、県内・近県の名所には一通り行った。 当然、那智の滝にも。 その時、水飛沫がかかるぐらいの近くまで行って見上げたからだと思うが、俺の中では、那智の滝は縦長の構図の中にあるんだよな。

そのせいか、横長の構図の中にあると、那智の滝という感じがしない。 遠くから見るときっとこうなんだろうが。 というか、俺もきっとこのぐらいの距離からも見ているはずなのだが。

琵琶湖四題 秋月 曲子明良

綺麗な月なのだが、眺めているうちに、雲の背後に大きな黒い球体があるように見えてきて、その大きな球体の一つ目の瞳が月のように見えてきた。

SFやオカルトでよく見かけるパターンなのだが、さて、最近見たのはなんだったかなと脳内検索して、ヒットしたのがバックベアードだった。 それも台詞付きのネタ画像。 このロリコンどもめ。

舟唄 松村公嗣

水面の煌めきが印象的な作品。 イタリアの水路だそうだ。 色とコントラストの使い方がポイントなのだろうが、近寄ってみればやや燻んだ白い点が、離れて見ると本当にキラキラと輝いているように見える。

このキラキラ感が、絵葉書サイズになると半分以下に減ってしまうんだよな。 そのあまりの変化に逆に感動して、つい絵葉書を買ってしまった。

展示品には文句はないのだが、照明は駄目だったな。 特に大きな作品で、ガラスケースのちょうど絵にかかるぐらいの位置に照明が写り込む。 絵の世界に入りそうになるところで、絶妙に邪魔される感じ。 狭い館内に大きな作品を展示しているので仕方ないのかもしれないが、もうちょっとどうにかならないものか。

そう言えば、山種美術館はその辺りが全く気にならなかったな。 展示室の広さはそう変わらなかったはずなのだが。

気になったので山種美術館のサイトを見てみたら、やっぱり照明には拘りがあったらしい。

LEDなどの最新の照明器具の開発には特に力を注ぎ、光源が鑑賞の妨げにならない独自の照明システムを実現させました。 作品をやさしく包み込むような自然な光環境で、日本画を心ゆくまでご覧いただけます。

だそうだ。 実際その通りだったよ。

水の音色

駅から美術館に行く途中にある川。 涼し気。

行きは涼しそうでいい感じだったのだが、帰りは妙に暑苦しい人集りが。 何事かと思ったら、ポケモントレーナーの集団だった。 どうやらレアなポケモンが出るらしく、皆一様に真剣な顔でスマートフォンを弄っていた。

結構な人集りなのに会話が皆無ってのが、ちょっと怖い。

郷さくら美術館

郷さくら美術館。 桜をデザインしたと思われる小さな黒いパネルで覆われている。

さくらだけでなく 「郷」 の方にも拘りがあるようで、看板もパンフレットも美術館の名前があるところは必ず

( さと ) さくら美術館 東京
Sato Sakura Museum Tokyo

と、和英併記の上に読み仮名まで振ってあった。 そんなところよりも照明に拘って欲しいものだが。

パンチラ

帰り道。 駅のエスカレータに乗っているところで、俺のパンチラレーダーが反応。 光の速さでそっちを見たら、パチンコ屋の幟だった。 しかもアニメ絵。

つい先日、カメラの顔認識がイラストの顔に反応するのを見て感心したものだが、俺のパンチラレーダーはどうなんだろう。 反応しておいて言うのもなんだが、まどかのパンチラに興味は無いんだよな。

まあしかし、高感度に反応するのは戦略としては間違ってないのか。 脳内保存するかどうかは、どうせ顔を確認した後で決まるのだし、何であれまず得なければ捨てることもできないのだから。