2017 01 18

待ちわびた頃に見つけたなら

原由子の歌う 誕生日の夜 を、遠い昔にラジオで聴いて以来ずっと探していた。

初めて聴いたのは高校の頃。

ラジオにはよくあることだが、何か他のことをしながら聴いてて、DJの 「ではここで一曲、誰の何です」 みたいな曲紹介は完全にスルー。 音楽が流れ始めてから 「あ、これ、ちょっといいな」 とちゃんと聴き始めたのだが、最後にもう一度 「誰の何でした」 なんて言ってくれることがないままフェードアウトで、結局誰なのかも何なのかも分からないまま。 その後に何度か聴くことがあったが、毎回同じパターンだった。

数年前にようやく原由子の 誕生日の夜 だということが分かったが、併せてCDが既に廃盤になっていることも知らされた。 ネットで買えるCDショップは、検索すればヒットはするものの在庫無し。 当然だが入荷予定無し。 当時の iTunes Store では、原由子どころかサザンオールスターズから扱ってなかった。 YouTube は1件ヒットしたが、こちらは著作権違反で音声がカットされていた。 まあ、そうだよな。

そして今日。 何となく iTunes Store を見ていて、かつては扱ってなかったはずの楽曲が結構な勢いで増えていることに気付き、あまり期待しないで検索してみたらヒットしたのだった。

即購入。 エンドレスリピート。 そして蘇る当時の思い出の数々。 若い頃に聴いた音楽って、ある種のタイムカプセルだな。

高校の頃で思い出したが、国語の試験でよく出題されたのがこれ。

この時の作者の気持ちを答えよ。

作者自身が回答したら不正解だったりで何かと批判されることも多いのだが、これ、実際に作者がその時にどう思っていたかなんて関係無いんだよね。 このパターンが試験しているのは、標準プロトコルが実装されているかどうかなのだから。

プロトコルというのは、一連の遣り取りの決め事のこと。

例えばメール送信なら HELO で通信開始となり、 DATA でメールデータの本体が始まり、それが . で終了し、 QUIT で通信終了となるのがプロトコル。

日常生活なら 「おはようございます」 には 「おはようございます」 を返すのがプロトコル。 「死ね」 はプロトコル違反。

試験なのでわざとノイズを多くしているが、問われているのはこういったこと。 キーワードや構文という信号を抽出し、それらを学習指導要領的標準プロトコルに乗せろと言っているのだな。

ついでに言うと、標準プロトコルを踏まえた上でミスリードを誘ったり、標準プロトコルに則って進んでおいてポイントで裏切ったりが、商売としての書物。 なので 「作者本人でも正解しない」 ってのは、褒め言葉にはなっても批判としては今一つ。 むしろそんな作者の文章だから売れるのだ。

ってのは言い過ぎか。 素で間違えるよりも、違うと判った上で正解を選べる方が、物書きとしての能力は上だろうし。

ちなみに選択式の場合、プロトコルが判らなくても何とかなったりする。 今の時代はどうだか知らないが、俺の頃には

  1. 断言しているものはまず除外。
  2. 残ったもののうち、本文中の言葉が多い方は釣り回答として除外。

として残ったものを選ぶと、だいたい正解だった。 まあこれはこれで違うレイヤーのプロトコルなんだけどさ。