2017 06 14

大混雑エルミタージュ

眼下の都心

六本木ヒルズの森美術館で 大エルミタージュ美術館展 を見てきた。

高層ビルのワンフロアの半分ぐらいとそう広くない場所に、程よい数の展示品。 ゆっくり見るにはちょうどいいぐらいなのだが、ゆっくり見れないのが六本木。 なんであんなに人が多いのか。 混雑を避けるために入場制限をしていたようだが、それで尚あの混雑。 俺はたぶん六本木じゃ生きていけない。

展示品は良かった。 ちょっと悔しいが、この賑わいも仕方が無いと思えるぐらいだった。 連れのお嬢さんの曰く 「海外出張でいろんな美術館に行った人が、このエルミタージュ美術館が一番良かったって言ってたよ」 だそうだが、今日見たその一端だけでも収蔵品の充実振りが窺える。

エルミタージュ美術館のコレクションの始まりは、帝政ロシアの女帝エカテリーナから。 その後、歴代皇帝によって次々と収蔵品が増やされたのだそうだ。 帝政ロシアは、ブチ切れた国民が共産主義革命に走ってしまう程に過酷な搾取をしていたわけだが、その上がりで美術品が買われていたことを、当時の国民はどう思っていたのだろう。

まあ、良いものが見れるなら遠い異国の歴史なんてどうでもいいか。

展示は、16〜17世紀の作品を、国や地域で大まかに分けて見せる構成。 ヨーロッパの絵画の大きな転換点となったルネサンスが、その後各地でどう展開したのかを見せる意図だろうか。

あえて順位をつけるなら、まずはイタリアで、次がスペインか。 地域性があるのかたまたまなのかは判らないが、今日見た範囲では、北に行くほど暗く硬くなる気がする。

以下、印象に残った作品。

聖チェチリア カルロ・ドルチ

国立西洋美術館で 悲しみの聖母 を見て以来、この人の作品は好き。 当時には珍しい非デブの美人がいい。 でも注目すべきは手。 手が綺麗。

アンドロメダ フランチェスコ・フリーニ

当時の理想的な体型の美人。 つまりぽっちゃり貧乳。 要素だけ列記すると良いとこ無しなのだが、雰囲気はとても良い。 結局顔ってことか。

聖家族 ポンペオ・ジローラモ・バトーニ

マリアが色白美人。 住んでた地域を考えると色白なはずが無いのだが、こんな風に描かれるともう白くていい気もしてくる。

聖母マリアの少女時代 フランシスコ・デ・スルバラン

ロリマリアが可愛い。 理想の女性とか理想の少女を投影するのに、マリアってのは都合のいい題材なんだろう。 聖母のマリアも、娼婦のマリアも。

ヴェールをまとう若い女性 ジャン=バティスト・サンテール

狭い通路での展示でしょうがないのだろうが、ライトの当て方が悪くてもったいない。 近くで見ると光の反射で見難く、しかし離れて見ることもできず。

その他、港町らしい大きな風景画の緻密さや、モーセが持つ石板の写実性も印象に残っている。 バロックの時代の絵は特にそうだが、大きさの効果が凄い。 ミュージアムショップで売っている絵葉書では、雰囲気が全然伝わらない。 まあ、買っちゃうんだけど。

図録は駄目だったな。 だいたい図録の絵はPhotoshopで自動画質調整したみたいにコントラストが上がって、ちょっと華やかに見えることが多いのだが、今回のは何故かどの絵も酷く暗かった。 なにか嫌なことでもあったのか?