2017 08 15

川端龍子

山種美術館に行ってきた。 現在 川端龍子 -超ド級の日本画- を開催中。 川端龍子の没後50年記念だそうだ。

この川端龍子という人を、俺はほとんど知らなかった。 作品は何かで見たことはあるけど、名前が結び付いてない状態。 この展覧会に行こうと思ったのも、別の展覧会に行った時に持って帰ったパンフレットが良い感じだったからで、名前で決めたわけじゃない。 というか、パンフレットには

RYUSHI
川端龍子 -超ド級の日本画-

なんて感じで大きく書いてあるのに、それを見てなお 「りゅうこ? たつこ? あ、りゅうしか」 という状態だった。

まあ、俺の中じゃ近現代の画家はだいたいそんな感じなんだけどさ。 学校の美術の時間だと近現代はヨーロッパが中心だし、積極的に見に行かないと触れる機会が無いんだよな。 って、誰に言い訳してるのか。

展覧会のタイトルが示す通り、川端龍子は日本画家なのだが、最初から日本画家だったわけではない。 最初は洋画をやっていて、洋画で身を立てようと渡米して夢叶わず、失意の帰国後に日本画家になったのだそうだ。 そのせいか、彼の絵は、特に初期のものは、良く言えばハイブリッド、悪く言えば中途半端な気がする。 日本画なのに微妙に洋画の名残が見えるような。

これがだんだん洋画臭さが抜けてきて、古典、特に琳派を意識したんじゃないかと思われる雰囲気に変わってくるのが面白かった。 対象の三次元的な正確さを損なわないままで純日本画的な雰囲気の中に綺麗に収めるとか、なかなか龍子もやるようになったじゃないかと思ったね。 って、俺は何様なのか。

描かれる対象で見ると、クオリティは植物、風景、動物、人の順。

植物はかなり写実的で正確。 しかもその正確さが、図鑑のような味気無さではなく迫力になっている。 草の実 がその典型にして頂点。 これだけでも見に行く価値があると思う。 八つ橋 は、きっと本人は気合を込めて描いたのだろうが、燕子花図を見てまだ間が無いせいか、俺には劣化コピーに見えてしまった。

風景は語るほど作品が多くなかったが、水の表現が良かったと思う。 古典的な日本画での水は、川はもちろん滝ですら全く流れているようには見えないのだが、今日見た 鳴門 は、どう見ても日本画なのに水がちゃんと流れているように見えるからね。 まあ、水が流れているように見えるから褒めるってのも変な話だが。

動物は、良いものは良いのだが…。 この幅広さは、その動物を観察できた時間の違いだろうか。 或いは興味を持てたかどうか。 好きだったという鯉の絵がたくさん展示されていたが、そこに描かれている鯉がどれも、顔や鱗の描写は良いのに尾鰭の辺りが微妙だったんだよな。 鰭なんてどうでもよかったのか。

人物は微妙。 仏像などの人物モドキも微妙。 これ以上は言わないでおこう。

展示内容とは関係無いが、山種美術館は今回も照明が良かった。 明る過ぎず暗過ぎず、保護ケースに映り込んで邪魔になることもない。 その場では良さに気付かず、後に別の美術館に行って初めて 「あれ? 山種美術館の照明って凄いんじゃないか?」 と思う素晴らしさ。 他の美術館も見習ってほしいものだ。

行きはポツポツだった雨。 帰りは嵐。

食事よりもむしろ避難が目的で入ったレストランで、俺は今日初めてオリーブオイルでパンを食べた。 連れのお嬢さんは平然と食べていたが、俺は内心ビビっていたよ。 こんなオシャレアイテム、もこみちクラスじゃないと許されないんじゃないだろうか… なんて。 若干口数も減ってた気がする。

恵比寿

恵比寿駅の改札を出たところにある恵比寿像。 外人にはちょっと注目されていたが、日本人にはほぼスルーされていた。