2017 08 19

笑顔

父を連れて散歩する時はたいてい用水路沿いのベンチで一休みし、父はラムネを、俺はリンゴジュースを飲んでいる。 このラムネを、父はそれはもう美味そうに飲む。 最初の一口から 「あーっ! 美味いのぉ! よぉ冷えとるのぉ! 生き返るのぉ!」 と至極ご満悦だ。

ベンチには、ゴミ拾い兼ポイ捨て禁止の見回りをしているシルバー人材センターから派遣されたらしい老人たちが休憩していることも多い。 多いというか、たいてい居る。 土日、父と散歩する時はいつもちょっと遅い昼食の後に一休みしてから散歩に出るのだが、この時間帯がちょうど彼ら彼女らの休憩時間になるらしい。

そんな彼ら彼女らの目には、俺と父は孝行息子と楽隠居みたいに見えるらしい。 で、メンバーの中のおばあさんがたまに父に 「今日も息子さんと散歩ですか? いいですね」 なんて話しかけてくるのだが。

相手はこれまで何度も話しかけてきていてもう顔馴染みぐらいのつもりでいるのだろうが、父はもちろんさっぱり覚えていない。 なのにいつも会っているような口ぶりで話しかけられて、内心かなり混乱しているのだろう。 そんな時、父は決して相手と目を合わせようとしない。 笑顔は絶やさずなんとなく話を合わせているが、ずっと手元を見たままだ。

ケアマネージャーが毎月1回介護プランの確認と面談とで家に来て話すのだが、その時の父の態度もこれと同じなんだよな。 笑顔を絶やさずなんとなく話を合わせているけど、下を向いたままでほとんど目を合わせようとしない。

知らない人と話すのが苦にはならないタイプの父だが、自分は全く覚えていないけどどうも知り合いらしいという相手と話すのは、かなりストレスなんだろう。 って、そりゃ言うまでもなくストレスか。 ずっと下を向いているのも、逃げ出したい気持ちの表れなのかもしれないな。

ちなみに、デイサービスの職員が迎えに来た時は全然違う。 普段は俺の方が先に家を出るので迎えに来た時の様子を見ることはないが、夏休み中に見たところ、挨拶はもちろん世間話もちゃんと相手を見てしていた。 デイサービスの職員のことは、名前はさすがに無理なようだが顔は覚えているらしい。

クサギカメムシ

たぶん草木亀虫(クサギカメムシ)の幼虫。 トゲトゲ。

棘があるのは子供のうちだけで、大人になったら棘はなくなるが臭くなる。 触るものみな傷つけた若い頃を語る加齢臭のおっさん的に成長するのだ。

そうそう、そんな成長途中の高校球児の話。

仙台育英と大坂桐蔭との試合で、一塁でのクロスプレーがあったのだが、走者である仙台育英の選手が、大阪桐蔭の一塁手の足を蹴っていた。 たまたま当たったとかではなく、意図的に蹴ったように見えた。 まあ、震災のときに集団で店に盗みに入って書類送検されるようなのが仙台育英野球部だからね。 伝統を大事にするならワザとだろう。