2017 11 19

紅葉

紅葉

高幡不動の紅葉は盛りを少し過ぎた頃か。 今年は赤が濃い。

色といえば、男と女では識別できる色の数が違うのだとか。 一般に女のほうが色の階調の変化に敏感らしい。 この手の違いはたいてい原始時代の生活から、例えば 「男が狩りに行っている間、女は洞窟で子育てをしていたから、子供の顔色の変化に敏感になった」 みたいな説明がされるのだが、俺は、なんかもっと物理的な違いがあるんじゃないかと思っている。

そんな方向で説明する第一歩になりそうな研究発表。 東北大学から。

女性と男性とでは、同じものを見たり聞いたりしても、受け止め方に大きな違いがあります。 それは脳の回路の組み立てやその働き方に性差があるためと考えられますが、どのような仕組みによって男女の脳の違いが作られるのかは、秘密のベールに包まれていました。

このたび東北大学大学院生命科学研究科の山元大輔教授のグループは、ショウジョウバエの脳回路の雌雄差の研究を通じて、遺伝子のオン・オフを司る一つのタンパク質が、女性脳−男性脳の切り替えスイッチであることを突き止めました。

研究グループは、脳内で性フェロモンの検出に携わっているmALという名の脳細胞が雄に固有の突起(雄型突起)を持つことに着目して、この突起の有無を左右する遺伝子を探しました。 その結果、ティーアールエフ2(TRF2)と呼ばれる"月並みな"雌雄共通のスイッチタンパク質が、その鍵を握っていることがわかりました。 TRF2は、雌の脳では雄型突起を抑制する遺伝子の読み取りをオンにして、脳細胞を雌型にします。 雄の脳では、雄型突起抑制遺伝子の読み取りを低下させる雄化タンパク質、フルートレス・エム(FruM)の援軍として働いて、抑制遺伝子をほぼ完全にオフにします。 その結果、雄型突起は雄の脳細胞だけに作られるのです。

こうして、TRF2の遺伝子読み取りに対する働きに二面性があり、雄化タンパク質、FruMのない時にはオン・スイッチ、FruMのある時にはオフ・スイッチとして働くこと、そしてこの二面性によって、脳が雌型になるか雄型になるかが決まること、がわかったのです。

本研究成果は、Springer Nature(UK)発行のonline科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』(Nature Communications)にて11月14日19時(日本時間)に発表されました。

まあ、本当に始めの一歩って感じなんだけどね。 今の時点で解っているのはショウジョウバエの、しかも数ある雌雄差の中のほんの一要素だけなのだから。 雄型突起が雌雄の行動に具体的にどう働いてどんな差として現れるのかの記述がないのも、きっとまだ全く解っていないからだろう。 これを 女性脳と男性脳を切り替えるスイッチ というのはかなり大袈裟な表現だと思うが、しかしその一方で、変に謙虚にならずに大袈裟に表現できるようになったのは進歩だとも思う。 これからもこの調子で頑張って欲しいものだ。