2018 08 18

何が間違っているのか

障害者雇用に関する記事。 共同通信から。

中央省庁が雇用する障害者の数を長年にわたって水増ししていた問題で、国土交通省は17日、事実関係を大筋で認めた。 10近い主要省庁で水増しが常態化していたとみられる。 厚生労働省が今年4月以降、複数の省庁から障害者の算定方法などについて問い合わせを受け、6月下旬に調査を始めていたことも判明。 同省は調査を本格化させ、障害者手帳を持たない軽度の職員を算入していた手法など全省庁の実態把握を急ぐ。

民間企業に積極的な障害者雇用を求めている国が法定雇用率を下回っていた可能性が高いだけに、批判の声が強まりそうだ。

何故水増しするのか。 それは戦力になる障碍者が少ないからなんだよな。

知的には何の問題も無くて、物理的なバリアフリーさえ確保しておけば、あとは普通に仕事してくれる人。

役所でも企業でも、望まれるのはそういう障碍者だろう。 戦力とまではいかなくても、スロープをつけるとかの初期投資だけすれば、あとは障碍方面は放置でも問題ない人であってほしい。 常に誰かのサポートが必要じゃない人。 妙な拘りが無く、変化に普通に対応してくれる人。 しかし、そんな人は求める程には多くない。

厚生労働省の統計によると、障碍者の分布はおよそ以下の通り。

種別 割合(%)
身体障害 3.4
知的障害 0.9
精神障害 3.1

仮に 「物理的なバリアフリーさえ確保しておけば普通に仕事ができる人」 という条件を満たすのが身体障害の軽い方50%とすると、全体に対しては 1.7%。

これに対して、障害者雇用促進法で求められる民間企業の法定雇用率は 2.2%。

少々足りない。

これで何が起きるかというと、軽度身体障碍者の奪い合い。 体力のある企業がそういった障碍者をちょっと高い賃金で囲い込むと、体力の無いところは、障害者雇用納付金をただ払い続けるか、言い方は悪いがハズレを雇わざるを得なくなる。 ここで役所まできっちり雇用率を達成したら、民間企業はますます苦労することになるだろう。

いやまあ、そんなことを考えて水増ししたわけじゃないだろうけどさ。

じゃあどうすれば障害者雇用が進むのか。 障害者雇用促進法が

と、飴と鞭というか鞭と飴になっているのは、そうしないと雇用が進まないと考えたからだろう。 まず鞭。 罰則がなけりゃ雇わないのは、国自らが示す通りだし。 でも政策として進めるなら、こうした方法しかないんだよなぁ。

とりあえず、現状の

という大雑把な5枠を、パラリンピック並みに細分化し、累進課税的に企業規模に応じてどの枠を何人と決めるのはどうだろう。 方向性は変わらないが肌理細かく。 基本的には競争力を削ぐ方向になるので、日本だけが不利にならないように国際的な取り組みとして進めるとか。 でもなぁ…

あらゆる障害が薬や義体化で健常者レベルまで、或いはそれ以上に持っていけるようになれば、つまり世の中から見かけ上障害者がいなくなれば、障害者雇用という考え方自体が不要になるんだよな。 科学技術立国を謳うなら、これこそ目指すべき方向だろう。 義体化が実現されれば、少子高齢化からLGBTまで、他にもいろんな問題がそこそこ解決できそうだし。

ということで、医学や技術の進歩には期待している。 特に深刻な問題を抱えているわけじゃないが、俺も死ぬ前に一度は草薙素子になってみたいものだな。 そして、せっかく手に入れた圧倒的な外見をわざわざ光学迷彩で隠すという無駄遣いもしてみたい。 一人マジックミラー号的な。