馴染みの新天地
良く言えばビジネス・カジュアル、悪く言えばゴマカシな服装が多い俺だが、今日は入社式ということで久しぶりにスーツ然としたスーツを着た。 15年、いやもっと前だったろうか。 もう遠い昔に買ったスーツは、腹回りが微妙に緩い。
で、入社式とちょっとした事務手続きを済ませ、席への案内と支給のPCなんかの運搬要員を兼ねた若手が迎えに来るのを待っていたのだが。
「あっ! 渡邊さんがスーツ着てる!」
俺を見た第一声がこれだった。
「俺だってたまにはスーツぐらい着るよ」
「そうなんですか? いつだっていつものラフな格好かと思ってましたよ」
「心機一転ってやつだね」
「え? じゃあ、明日からも?」
「いや、今日だけ」
「ですよね。 安心しました。 あはは…」
安心? いったい何に?