自己紹介ではない
駅ビルの本屋で美術系の雑誌を眺めていたら、壁の奥から大きな声が聞こえてきた。 どうやら本の取り置きを依頼する電話に対応しているらしい。 注文の品が店に来てから何日以内に取りに来なければ返品されるとかの説明をしていた。
で、電話の向こうの人がそういった取り扱いに納得したらしい。 聞こえてくる一方通行の会話が注文確定のフェーズに入った。
「フルネームをお願いします」
そして名前を復唱。 全力で。
「電話番号をお願いします」
電話番号を復唱。 これまた全力で。
もうね。 注文した本だけじゃなくて、注文した人の名前も電話番号も周囲にダダ漏れ。
電話で注文を受けたら、名前と連絡先を復唱して確認する。 それはいい。 それはそうすべきだし、きっと社内でもそう教育されているのだろう。 でもそれで個人情報を全力公開しちゃ駄目だろ。
電話の声がつい大きくなってしまうのは、相手が耳の悪い年寄りだからかもしれない。 配達までしてくれるamazonを使わず本屋に電話するところからも、その可能性が高いんじゃないかと思う。
そう思っても、ほとんどの人は 「さっきこんなことがあったよ」 程度で流しておしまいだろう。 でも中には、この情報を良からぬことに使おうと考える人もいるんじゃないか。
「先程は御注文頂きありがとうございます。 その時にお伝えするのを忘れていたのですが、当店ではクレジットカードやキャッシュカードを登録して頂いた方に、御注文の本の取り置きではなく宅配のサービスを行なっております。 お支払いも自動でできますよ。 途中で銀行に寄ってお金をおろして、当店まで受け取りに来て、というのが難しい方には好評で、サービスを申し込まれる方も多いのですが、どうでしょうか。 ただ登録には一旦カードをお預かりする必要があるので、これから担当の者をご自宅に向かわせます。 本日登録して頂ければ、先程御注文の本も宅配できますよ。 何かご質問等ございましたら、今後はこの電話番号にお問い合わせを…」
なんて。