貴方の希望は誰かの絶望
白血病で闘病生活だった池江璃花子が競技に復帰。 そしていきなり100mバタフライで優勝し、オリンピックのメドレーリレーの選手に内定した。
ちょうどそのレースをテレビで見ていたのだが、競技の前も、競技中も、競技の後も、カメラが追うのは池江璃花子だけだった。
で、その池江さんだが、勝ってから後はずっと泣いてた。 インタビューの時もずっと。 泣きながら 「努力は報われる」 とか 「ここまで来るのは大変だったことをわかってほしい」 とか 「希望を持ち続けて」 とか言ってた。
まあ、確かに大変だったのだろう。 死ぬかもしれない恐怖も、競技に復帰するまでの努力も。 それで優勝したのだから、そりゃ涙腺も崩壊するだろう。
でもなぁ…。
努力は人一倍しただろうが、それがオリンピックレベルで報われるのは、人一倍才能に恵まれた人の努力だけだ。
希望を持ち続けて、希望を叶えて、彼女は競技に復帰した。 でもそんな彼女の復帰は、他の選手にとっては絶望の報せでしかない。
テレビの中の人は 「同じ病気で苦しむ人たちに力を与えた」 なんて言ってたが、本当に力を与えたのだろうか。 同じ病気の人たちは、きっと応援はしただろう。 3位争いぐらいだったら、素直に喜んだだろう。 でも結果は優勝だった。 病み上がりの復帰戦で優勝してしまうような化け物だから治ったのだと、むしろ遠く感じたのではないだろうか。
そして今日ここで負けた選手の誰かが、この先同じ病気になった時、感じる絶望は池江さんよりもずっと大きいだろう。 万全な状態なのに病み上がりに勝てない自分なのだ。 回復して競技にも復帰なんて希望を、持ち続けることができるのだろうか。 というかむしろ今、自分の存在意義とか、競技を続ける気力とか、失いかけてるんじゃないのかね。
さて、戻ってくる人がいれば、去る人もいる。
橋田壽賀子が死んだ。 享年95歳。 急性リンパ腫だそうだ。