男は

深夜、大声で話す女の声が聞こえてきた。

電話で誰かに話しているらしい。 少々酔っ払って、電話の向こうの相手に説教しているらしい。 電話の向こうは友達だろうか。 一方通行の会話から伝わってくるのは、微塵も経済力を注ぎたくない雰囲気だった。

男は経済力。

そう思うことを否定はしない。 実際、金があればなんとかなることは多い。

でも 「だから経済力で男を選べ」 と他人に言う時、その心は、きっと親切ばかりじゃないんだろうとも思う。

本当はもっと重視したいものがあったのに、経済力で選んでしまった後ろ暗さ。 金のためにしている日々の小さな我慢。 そういった諸々を他の人にも感じさせたくて、勧めてるのではなかって気がするよ。

あとは、経済力で選ぶのは自分だけじゃ無いと言うためか。 まあこれも、方向性は違うが、根は同じ。

ちなみに俺は、きっと経済力でも選ばれない。