ビデオドローム
遠い昔に見た映画って、印象的なシーンだけ覚えていて、ストーリーは綺麗さっぱり忘れていたりするよな。 面白かったことは覚えているのだが、何が面白かったのかはとてもアヤフヤだったり。 まあ忘れたからって何も困らないし、改めて見た時に懐かしさと新鮮さを同時に感じられて、むしろ忘れてる方がメリットが大きかったりするのだが。
今日もまた、そんな映画の話。
VIDEODROME
内臓感覚
だったかな。
そんなキャッチコピーで一時期もてはやされていたクローネンバーグ監督の、初期の作品。
The Fly
がそこそこ面白くて、その流れで見たのだったはず。
俺は蝿男よりも面白く感じたのだが、興行的には今一つだったらしい。
主人公のマックスは、小さなケーブルテレビ会社の経営者。 刺激的な映像を求めていた。 或る日、偶然に、エログロ専門の海賊放送の電波をとらえ、これこそ自分が求めていたものだとのめり込んでいく。 しかしその映像は精神に変調を引き起こす一種の薬物で、偶然も実は仕組まれたものだった。
とまあ割と単純なストーリーなのだが、びっくりするほど覚えていなかった。 あれ? こんな話だったっけ? がラストシーンまで。
しかし記憶に残っていたシーンは、今見ても面白い。 そして主人公目線の幻覚がエロくて良い。 ブラウン管のテレビとか、VHSのビデオテープとか、もう絶滅してしまったハードウェアも、今の時代には良い味付けになっていると思う。 ネットでエログロ動画がいくらでも拾ってこれる時代なので、精神に変調をきたすとか人を支配するとかの効能は、説得力が激減だが。
いや、説得力が激減してることを疑問に思うべきなのか。
あの映像を見せようとする勢力は、確か国を強くすることを建前にしていたんだよな。 そのために、国民にこの映像を見せて支配するのだと。 映画の中では対抗勢力に潰されたけど、現実はそうじゃない。 ちょっと検索すれば、より過激な映像が手に入る。 むしろ 「またこれか」 なんて思ったりもする。 そんな状況はどうなのか。
と思ったが、やっぱり逆か。 ほとんど目にすることがないから精神を揺さぶられるのであって、目にする機会が増えれば慣れて当たり前になるんだよな。 裸族におっぱい星人がいないように。
と、裸族でもないのに決めつけているが、実際はどうなんだろう。 裸族におっぱい星人はいないのか。 いないとして、あいつら一体何に興奮して子沢山を維持しているのか。 どうでもいいか。
そうそう、塾の生徒におすすめの映画を訊かれて、ビデオドロームを挙げたことがあった。 あの子はこれを見たのだろうか。 中学生には刺激が強かったかもしれないと、今更だが反省している。