二重の極み
監督官庁、企業、現場の作業者、もう丸毎ひっくるめて、建設業界にあまり良いイメージが無い。 いやまあ、じゃあ良いイメージの業界ってどこだよって話だが、建設業界は悪い中でも悪い方なのだ。 そんなイメージを地味に補強するニュースがまた一つ。 毎日新聞から。
建設業者が受注した工事の実績を集計する国の基幹統計を巡り、国土交通省が業者の提出した調査票を無断で書き換えるなどして二重計上していたことが判明した。 国交省によると2013年から続けられ、工事の実績が実態よりも過大に計上されたという。 国内総生産(GDP)算出などに影響を及ぼした恐れがあり、国交省は経緯や詳細を調べている。
書き換えがあったのは、統計法に基づく基幹統計の「建設工事受注動態統計」。 建設会社が民間企業や公共機関から受注した国内の工事の受注実績を集計、公表している。
国交省建設経済統計調査室によると、全国の建設業者から抽出された約1万2000社が毎月、受注実績などを調査票に記入し、回収は都道府県が受け持つ。 業者は毎月の期限までに提出しないことがあり、国交省は13年以降、その場合には他の業者が提出した調査票を基に算出した推計値を計上していた。
ところが、国交省は期限の後になって提出された調査票の数値について、回収した当月分の数値に合算するよう都道府県に指示。 これにより、同一業者の受注額を二重に計上する形となっていた。
国交省は会計検査院の指摘を受け、今年4月分から統計方法を変更して二重計上をやめるとともに、20年1月以降の数値をさかのぼって再集計したとしている。
だが、二重計上があったことについては公表していなかった。担当者は「適切ではなかったのでより適切なやり方に改めた」と述べた。
建設工事受注動態統計について、国交省は「建設活動の動向分析、建設行政などにおいて貴重な資料となる」と説明している。
国の基幹統計を巡っては、18年に厚生労働省の「毎月勤労統計」で本来と違う形の不適切な調査が行われていたことが発覚した。
記事では国交省が叩かれているが、まず責められるべきは期限を守らない業者だろう。
期限内に提出されないから推計値を使った。 その後に提出されたので、対応する推計値を除外しないまま、単純に足した。
これで国交省だけを責めるのは、ちょっとバランスが悪いように思う。
記事中の 「建設業者」 が国交省のいう 「建設業許可業者」 であるなら、その数は、2013年以降だいたい47万で推移している。 そこから1万2千を抜粋しての推計値なのだ。 統計的に意味が無いとは言わないが、細かい上下に拘る意義も無いだろう。 後から上乗せした数値は把握できるのだから、発表した推計値がプラスマイナスどの程度の振れ幅になるかを、上乗せ分込みで示せば済む話ではないか。
気になるのは、期限までに提出しなかった会社がどれだけあるか。
これが1割を超えるようなら、そもそも運用に無理があったと見るべきだろう。 実際どうだったのか。 無理があったんじゃないのか。 そんな無理を何年も業界に押し付けてきたのは行政の横暴であり怠慢ではないか。
責めるならこっちの方向じゃないのかね。
この際だから国交省も 「新聞各社が発表している発行部数よりは正確です」 ぐらいのことを言って、泥沼のバトルを展開すればいいのに。
そうそう、NHKのニュースで、国会でこの件を追求する野党議員の姿が流れていた。 政党も議員の名前も忘れたが、その言葉は忘れられない。
「再発防止を防ぐのが国の責任でしょう!」
再発防止を防いじゃ駄目だろ。