俺の餃子は

先週の月曜に風邪で休んだ。 翌日には回復したものの、あまり調子が良いとは言えない日々が続き、金曜にまた熱が出て休み。 その後、土曜も日曜もずっと38.8度。 頭痛も酷い。 喉カラカラ。

今日になっても熱が下がらず、また休暇。 朝一で病院に行ったのに1時間ぐらい待たされて、しかし診察は5分で終了。 「インフルエンザじゃないですね。 風邪でしょう」 だそうだ。

昼を食べて、薬を飲んで、喉の乾燥対策にマスクをしたまま寝たら夢を見た。

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今日の食堂は餃子祭り。 水餃子や揚げ餃子などの定番から、もう餃子とは思えない現代アートまで、いろんな餃子が味わえるらしい。 で、今日は絶対に逃せないと熱く語る餃子女子(?)グループから昼一緒に食べようと誘われていたのだが。

「餃子に行くよーって、あれ? 昼休みまで仕事? 仕事と餃子、どっちが大事なの?」

「えーと、そんなこと言わせてごめんね? で良いんだっけ? もうちょっとかかりそうだから先に行ってて。 待たなくて良いから」

「んー、じゃあ先に行ってるねー」

SQLが帰ってくるのを待ちながら、いつもより早足な餃子女子グループを見送った。 そんなに餃子が好きか。 まあ、気持ちは判るけど。

その後、5分ぐらいでSQLが終了。 ログを確認して問題無し。 commitして作業完了。 立ち上がると、ちょっとふらつく。

「終わった?」

振り向けば餃子女子グループのメンバーが一人。 ちなみに眼鏡巨乳。

「先に行ったんじゃないの?」

「私も今まで仕事してて出遅れ」

「あぁ、なるほど。 仕事と餃子、どっちが大事なの? って訊かれるやつか」

「餃子を食べるための仕事だよ。 それに空腹は最高のスパイスって言うでしょ?」

「じゃあ、これから食べる餃子は全部スパイシーなのかぁ」

「餃子ならスパイシーもありだから」

なんてことを言いながら食堂に向かい、二人とも水餃子ランチセットの列に並んだのだが、待ってる間に更に体調が悪くなってきた。

ようやく餃子を手にした時にはもう意識朦朧で、というか一瞬意識を失っていたらしい。 見れば、自分のトレイに何も無い。 そして足元に散乱する水餃子ランチセット。

眼鏡巨乳は、俺がそんなことになっているとは気付かないようで、先に行ってしまった。

通りかかった食堂の職員に片付けを頼み、また水餃子ランチセットの列に並び直したのだが、俺の前の人で売り切れに。 それじゃあと並んだ揚げ餃子ランチセットも、やはり俺の前で売り切れ。 食で冒険はしない俺だが、背に腹は代えられない。 と、妥協して並んだ変わり餃子の数々も、尽く俺の前で売り切れに。 並び直し。 売り切れ。 並び直し。 売り切れ。 何故?

今日は全部売り切れたと嬉しそうに話している店員に腹が立ち、どれもこれも俺の前で売り切れやがってなんとかしろと無茶なクレームを入れるが、当然反論を食らう。

「お前が鈍いだけだろ。 そんな食いたきゃ早く来いよ」

「ちゃんと間に合うように来たんだよ。 で、間に合って水餃子取ったんだよ」

「はあ? 何言ってんだ、お前。 じゃあなんで食えないとか言ってんだよ」

「なんか知らんけど、取ったのが落ちたんだよ。 それで並び直したら全部売り切れって。 予備ぐらい用意しとけよ」

「落ちたってなんだよ。 落としたんだろが。 やっぱりお前が悪いんじゃねーか」

切れた店員が掴みかかってきたので、少し時間を戻して、俺が水餃子を取ったあたりから見せた。

水餃子セットを持ったまま突っ立ていた俺は、後ろから来た総務のでっかいおばちゃんに 「お疲れ!」 と結構な勢いで背中を叩かれて、そのせいでよろめいて餃子を落としていた。 おばちゃん、俺がそんなことになっているとは知らず、あっちこっちで同じように闘魂注入しながら歩いて行った。

「俺のせいじゃ無いよな?」

「まあ、そうだな。 悪かった。 でも餃子はもう無いからなぁ…」

「なんとかしろよ」

「そう言われてもなぁ…。 ところでお前、食うものなんとかしたとして、どこで食うの?」

「は? そんなの、ここで食うに決まってるだろ」

「まあそりゃそうなんだけど、ほら、あれ」

店員の視線の先には、最初に誘ってくれた餃子女子と眼鏡巨乳がいた。 なぜか長いテーブルのほぼ両端に分かれて座って、こちらを見ていた。

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目が覚めたら、なんかちょっと体が楽になってた。 熱を測ったら37度。 明日には回復するだろう。