五段活用
相変わらず、つまらない作業や事務処理ばかり忙しい。 基本的には一人で仕事をしたいのだが、一人だと雑用まで全部自分でやらなきゃいけないのが辛いところだな。 形式的に欄を埋めるだけの書類なんて、事務方で全部作ってくれればいいのに、あいつらときたら作るどころか 「そんなのそっちで直してくれよ」 なんてレベルの細かい文言の違いとかで突っ返してくるんだよな。 って、俺が間違えなければいいだけのことなんだが。
帰りの電車の中、正面に座ったOL風の人が泣いていた。 花粉症が酷いらしい。 際限なく溢れてくる涙と鼻水の、鼻水に対処するだけで手一杯のようだった。 涙よりもまず鼻水に対処するという優先順位は正しい。 花粉症になってしまったのは本人のせいではない。 いろいろ、しょうがないと言えばしょうがないけど、人前で泣くなよな。
泣く。 泣くってどっちだろう。 「泣かないー泣きますー泣くー泣くときー泣けばー泣け」 の五段活用か、 「泣けないー泣けますー泣くー泣くるときー泣くればー泣けよ」 の下二段活用か。 今時 「泣くるとき」 は無いだろうから、五段活用か。 ところで、活用ってのは語尾ばかり変化するんだよな。 って、それが定義なんだから当たり前なんだけど、そこをあえて語頭を活用してみよう。
「なくーにくーぬくーねくーのく」
それぞれ漢字を当てて 「人前で泣く」 に適用する。
- 人前で泣く
- 特に泣いてるのが女の場合、ちょっと心乱される。 可哀想だという思いと苛立ちと。 苛立ちは、どんなに相手に非があろうが泣かれた時点でこっちが悪者という、子供時代の嫌な思い出のためだろうか。 今泣いている人には全く関係無いのだが、出来れば我慢して欲しいものだな。
- 人前で肉
- いつだったか、駅ビルの本屋で 「体重を減らしたいんじゃないの! お腹の肉を胸に持ってきたいの!」 と力説していた女の子がいた。 声につられて見た彼女の胸は、その胸の内が容易に想像できる絶壁。 ま、気持ちは判るが、人前で肉は止めた方がいいかもしれない。
- 人前で抜く
- 同音異義語の何を想像するかに、その人の人となりが現れるんだよな。 何を抜くのか。 どう抜くのか。 順番、位置、構造の変化としての抜く。 或いは比喩的に抜く。 色々あるはずなのに、真っ先に浮かんできたものがこれなんて…。 人前で抜いたら犯罪だろう。
- 人前でねく
- 意味不明。 なんだ? 「ねく」 って。
- 人前で退く
- 引退会見みたいなものか。 わざわざ宣言しなくてもいいようなものだが。 ま、それはいいとして。 券売機の前まできてから財布を探しだす奴。 改札機を出た直後に立ち止まる奴。 狭い歩道をベビーカーでふさいで立ち話する奴。 人前では退け。 人前だからこそ退け。
そんなことを考えていて、ふと気がつくと半笑い。 ほんのちょっぴりとはいえ、さっきまであった可哀想って気持ちはどこへ行ったんだ。