家庭の味
親戚の家へ。
買ってからまだそう時間が経っていないらしいマンションは、どうやら自慢の種であるらしい。 壁紙をどうしたとか、家庭内LANになっているだとか、全ての部屋を見せていろいろ説明していた。 まあ確かに小奇麗にしていて、自慢したくなるのも判る気がする。
部屋を案内される間ずっと、下の子が付き纏っていた。 纏わり付いて腕にぶら下がるのをぐいっと持ち上げたり、ぐるぐる回したりすると、凄いハイテンションで喜ぶ。 そしてますます付き纏う。 さすがにちょっと疲れた。
「寿司か何か取りましょうか、何が良いですかねぇって言うけぇ、博之は店屋物はあんまり好きじゃないらしいって言うといた。 そしたら、じゃあ何か作りますって言いよったけぇの。 何か作ってくれるで」
「そんな余計なこと言わなくていいのに。 わざわざ手間を掛けさせなくても」
「いや、主婦っていうのは、作ったものを美味しいって食べてもらうのが嬉しいもんよ」
「そんなこと言って、本当は自分が店屋物が嫌いだからじゃないの?」
「えぇ? まあ、店屋物は美味うないからの」
「だったらそう言えばいいじゃん。 何で人の所為にするの?」
「うん… まぁ… はっはっは」
親戚の家に行く途中にそんなことを話していて、夕食時が微妙に心苦しかったのだが、出てきた奥さんの手料理は美味かった。 父が、俺の所為にしながら、もわざわざ奥さんに作らせるようなことを言ったのは、彼女の料理が美味いことを知っていたからなのかもしれないと思った程。
「子供はええでぇ。 どんなに疲れて帰ってきても、子供の顔を見ると、頑張ろうって気になるけぇの。 博之も早う結婚して、子供作れぇや。 家庭があるってのは、ほんまにええでぇ」
なんて、家庭や子供のよさをしみじみと語り、だから早く結婚しろと言う親戚の言葉を聞き流しながら、腹一杯に食べたのだった。 こんな美味しい料理を作ってくれる奥さんなら欲しいけど、子供はどうかなぁ。 子供を持った自分ってのが、どうにも想像できないんだよな。