見てほしい

梅雨の蒸し暑さに痩せる思いなのだが、思いばかりであまり痩せないのは何故だろう。 健康診断の結果、ややデブと判定されてしまった。

で、デブ解消もかねて、涼しくなった夕方に父と散歩していた時のこと。

駐輪場の脇の細い道を駅の裏側に向かって歩いていたら、後ろからサラリーマン風の一団が早足で歩いてきた。 急いでいるらしいので、端に寄って、その一団を先に行かせた。 俺の前を歩いていた10代らしいカップルの男も、ちょうど脇道があったところなので、そちらに避けた。 が、連れの女の方が、男とは違う方を見ながら、道の真ん中をのんびり歩いている。 友達の愚痴らしいことを言いながら。 サラリーマンズは、その後ろで渋滞。 と、答えが無いことに振り向いた女が、サラリーマンズの後ろにいる男を見て一言。

「何でそんなとこに立ってんの?」

相変わらず、道の真ん中に立ったままで。

「いいから端に寄れって」

という連れの男の言葉に、ようやくサラリーマンズは前に進むことができたのだった。

その後の二人の会話。

「ねえ、何でそんなとこに立ってたの?」

「はぁ? 人がたくさん来るからだろ。 お前は何も考えずに歩いてるから駄目なんだよ」

「あ、そうか。 でも、時にはそんな図々しさも必要でしょ?」

「お前って、本当に… まあ、いいよ」

そして、特に喧嘩するでもなく元の会話に戻ったのだった。 その様子を見ていた父が一言。

「女っちゅうのは、下らないことにゃ細かいくせに、周りが見えんっちゃのう」

振り向いてなお自分が邪魔になっていることに気付かないのには、俺もちょっと驚いた。 改札やエスカレータの降り口で突然立ち止まったり、電車に乗ったと思ったらドアのところで立ち止まったり、流れを邪魔するのは圧倒的の女が多いが、あれ、自分が邪魔だと本気で気付いてないかもしれないんだな。 まあ、意図して邪魔するよりはましなのだが。