5分前という説もあるが

宇宙の年齢は137億年ではなく267億年。 暗黒物質は存在しない。

そう主張する新理論の話。 ナゾロジーから。

既存の理論では粒子の相互作用にかかわる重力などの、自然な力の強度「結合定数」は時間が経過しても変化しないと考えられています。

また光の強度も時間を経ても変わらず、どんなに長い距離を走破してもエネルギーは失われないと考えられています。

しかし新たな理論では、この自然な力の強度「結合定数」が時間経過とともに弱まったり(CCC理論)、長距離を移動した光は疲れ切ってエネルギーを失う(TL理論)とする概念が含まれています(CCC+TL理論)。

どちらの理論も単独で用いる場合には問題がありますが、新たな「CCC+TL理論」ではその名の通り、2つを組み合わせた運用が行われています。

理論が完成すると研究者たちは、まず銀河の中心部と外縁部の回転速度が理論値と一致するかを調べました。

既存の宇宙論では暗黒物質に依存しなければ正しい回転速度を導けません。

しかし「CCC+TL」理論を当てはめたところ、暗黒物質がない状態でも中心部と外縁部の観測された回転速度に一致することが判明します。

次に研究者たちは宇宙マイクロ背景放射にみられる特殊な振動パターン(バリオン音響振動:BAO)の観測結果を使って、検証を行いました。

宇宙マイクロ背景放射にみられる濃淡のうち濃い部分はその後の銀河系性の核となり、宇宙全体の可視物質の広がりを予測することが可能です。

すると「CCC+TL理論」は、背景放射の特定の特徴と一致することが判明します。

これらの結果は「CCC+TL理論」は銀河を巡る星々の回転速度や宇宙マイクロ背景放射に至るまで幅広い領域で、観測値と一致していることを示しています。

これまで暗黒物質の存在を否定する多くの理論研究が行われてきましたが、実際に暗黒物質を排除した理論と実際の観測結果が一致した例は、今回がはじめてとなります。

また「CCC+TL理論」が成り立つ場合、宇宙の年齢は267億歳となるのですが、この点も「存在してはならない銀河」の年齢問題を解決します。

既存の宇宙の年齢を137億年とする理論では「宇宙が10億歳のときに(127億年前に)数十億歳の銀河が存在する」という矛盾が生じてしまいますが、宇宙の年齢が267億歳ならば「127億年前の宇宙に数十億歳の銀河が存在」していても問題はありません。

またCCC+TL理論が正しければ、宇宙の加速度的膨張のメカニズムも変わってきます。

既存の宇宙論では宇宙の加速度的な膨張は暗黒エネルギーのせいだと言われています。

CCC+TL理論でも宇宙の加速度的な膨張は否定していませんが、その原因は宇宙が膨張するのに連動して「自然の力」が弱まるためであると述べています。

ここで言う自然の力とは最も基本的な4つの力「重力・強い力・弱い力・電磁気力」などが相当します。

CCC+TL理論は、暗黒物質なしに観測結果と合致する理論として、かなり有力なものと言えるでしょう。

記事の元になっている論文は、カナダのオタワ大学の研究成果で、2024年3月15日に The Astrophysical Journal に掲載されたもの。 九日前。 ナゾロジーもなかなか仕事が早い。

科学の歴史は、見える範囲の現象を上手く説明するために理論を構築し、見える範囲が広がって矛盾が生じたら理論を修正再構築し、の繰り返し。

この見える範囲が、技術の進歩でどんどん広がっている。 宇宙方面での直近のブレークスルーは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)。 遙か100億光年の更に彼方を見ることができる JWST は、2022年2月の本格運用開始以降、毎月のように新発見をもたらし、既存の理論を揺さぶり続けている。 127億年前の宇宙に数十億歳の銀河 を見つけたのもこいつ。

光速を超える速さで広がる宇宙を観測する手段が光ってどうなの? とは思うが、それすら覚束なかったのがこれまでの宇宙観測。 JWST という新たな目を得て、既存の理論が揺らぐのも当然ではあるのだが。

記事を読んでいて、ちょっと気になったのが赤方偏移と距離について。

遠くの星や銀河までの距離は、赤方偏移で推定している。 遠くの星ほど速いスピードで遠ざかっているので赤方偏移も大きいことから、観測値から赤方偏移の度合いを見て距離を推定するのだ。

CCC+TL理論では 長距離を移動した光は疲れ切ってエネルギーを失う が、光は速度が不変なので、エネルギーを失うと周波数が低下することになる。 つまりここでも赤方偏移だ。

新理論が正しいとすると、遠ざかることによる赤方偏移に加えて、エネルギーを失うことによる赤方偏移も起きてるんだよな。 であれば、これまで遠ざかることによる赤方偏移のみで決めてきた星や銀河までの距離を、改める必要があるだろう。 現在最遠の銀河までの距離388.1億光年は、新理論ではどうなるのか。

まあ、どうであれ遠いってことだけは確かだが。

宇宙の年齢もそう。 とりあえず長い。