ダブル
鼻毛が伸びる夢を見た。
朝、顔を洗って鏡を見ると、鼻からちょっと鼻毛が覗いている。 なんとなく引っ張ってみると、ずるずると鼻から出てきて、なんと5センチ程に。 物差しで計ってみると、5.3cm だった。 つんつん引っ張った感触からすると、鼻の穴に隠れている部分が1センチぐらい。 つまりこの鼻毛、6センチ以上に伸びているのだ。 いままで、どうやって鼻の穴に収まっていたんだろう。 ぐるぐると、コイルのようになっていたんだろうか。 これだけ長いと、切るのも何だかもったいないな。 どうしてくれようか。 と、鼻毛を弄っていたら、さらに数本が鼻の穴から顔を出す。 まさか? と引っ張ってみると、こいつらがまた、さっきのに劣らず長い。 しかも、長々と引っ張り出す度に、また新しく覗いてくる。 それらを次々に引っ張っているうちに、鼻毛がとうとう下ろしすぎた筆のようになってしまった。 ちょっと息苦しい。
という夢。 目が覚めたとき、思わず鼻を確かめてしまった。
何でこんな夢を見たのかは知らないが、実際に鼻毛が5センチぐらい伸びていた人を、俺は知っている。 しかも両方の鼻の穴から、1本ずつ、まるで昆虫の触覚のように。
- 気がついていないのだろうか。
- 髪はちゃんとセットしているようだし、気が付かないってことはないだろう。 いや、セットしているとは言ってもオールバック。 鏡を見なくても簡単にできそうだ。 でも、こんだけそっくり返って伸びていると、視界に入るんじゃないかな。 いや、近すぎて気付かない可能性もあるか。
- 誰も指摘してあげないのだろうか。
- これだけ堂々と伸びていると、指摘し辛いのかもしれないな。 あ、俺も指摘してないか。
- 伸ばしているのかもしれない。
- 普通の人がひげを伸ばすところを、この人は鼻毛で。 いや、いくら何でも、それは無いな。
などと、その人と打ち合わせをしながら、全然違うことを考えたものだ。
今になって思うのだが、あれはきっと鼻毛ではないのだな。 いや、鼻毛は鼻毛なのだが、それはもう全然違う役割を持つものなのだ。 もし片方を切り落とすと、彼はきっと真っ直ぐ歩けない。 真っ直ぐ歩いているつもりでも、同じ所をぐるぐる回ってしまうのだ。
恐ろしい。