裸の王様

帰りの電車で、窓に映った車内の景色をぼんやり眺めていて、ふと裸の王様を思い出した。

馬鹿には見えない布で作られたという服を着る王様。 その服が見えなくて、 「ひょっとして俺って馬鹿なのかも」 と、暗い気分の毎日。 空気の読めないガキに 「王様は裸だ」 と言われて、ようやく救われる。

そんなお話。

子供の頃は、この王様のことを馬鹿だと思っていた。 見えない服なんて有る訳無いのに、何でそんなに簡単に騙されるのかって。

大人になった今、やっぱりこの王様のことを馬鹿だと思う。 そんな服を、王様が自分で着るという点で。 もし俺が王様だったら、この見えない服を宮廷勤めの女官の制服にするね。 もちろん、女官は美人ばかり。

これ、何を恥ずかしがっておる。 大丈夫、見えておらん。 ワシは馬鹿では無いからな。 おや、お前はひょっとしてワシが馬鹿ではないかと疑っているのか?

なんて。 まあ、これはこれで馬鹿なんだけど、もう馬鹿でも良いやと思える楽しい毎日。 ああ、毎日だと飽きてるかもしれないな。 日替わりにするか。 月曜日はお前、火曜日はお前、みたいな。 普通の布で作ったエプロンを着用させるのも良いかもしれないな。

それにしても、なんで裸の王様を思い出したんだろう。 繋がるものが車内に有ったとは思えないのだが。